スロージョギングのメリット|まずは「電柱一本分」から始めよう
「運動した方がいいのは分かるけど、走るのはきついですよね」
患者さんと話していると、よくこう言われます。
そんなとき、私はこうお伝えしています。
「まず家を出て、家の前の電柱から、次の電柱まででもいいですよ」
最初から何キロも走らなくて大丈夫です。
息を切らさず、短い距離から始める。それが、今回お伝えしたいスロージョギングの入口です
走ることが苦手なのは、苦しかった記憶があるからかもしれません

学生時代の持久走やマラソン大会。
周りについていこうとして、息が苦しくなった。走るのが遅くて、嫌な思いをした。罰として走らされた。
そんな経験から、「走るのはきついもの」という印象が残っている人もいるのではないか。患者さんと話していると、私はそう感じることがあります。
でも、今から健康のために始める運動では、誰かと競う必要はありません。
自分が気持ちよく動ける速さでいいのです。
隣の人と話せるくらい、ゆっくりでいい

スロージョギングは、会話できるくらいのペースでゆっくり走る方法です。
「今日はいい天気ですね」
「昨日、こんなことがあって」
そんな話を、息継ぎに困らず続けられるくらいを目安にしてください。
会話できるかどうかは、運動のきつさを判断する目安にも使われています。
歩いている人に抜かれても構いません。ゆっくり走っても苦しければ、歩きに戻して大丈夫です。
「走るなら、これくらいの速さでないと」と頑張りすぎなくていいのです。
メリット① 自分に合うところから始められる
運動を始めるとき、いきなり「毎日30分」と決めると、負担に感じる人もいると思います。
だから私は、まず電柱一本分くらいの短い距離を提案しています。
もちろん、それだけで十分な体力がつくという意味ではありません。「まずやってみる」ための小さな目標です。
少し試して、「これくらいならできそう」と思う。
私は、その感覚を大切にしてほしいと思っています。
メリット② 続けることで、体力づくりにつながる

「そんなにゆっくりで、意味があるんですか?」
そう聞かれることもあるかもしれません。
ゆっくりでも、体力に合った運動を積み重ねることには意味があります。
例えば、運動を続けることで、筋肉に酸素を届ける細い血管が増えたり、細胞の中でエネルギーをつくる「ミトコンドリア」が増えたりすることが分かっています。
難しく考えなくて大丈夫です。体の中でも、動き続けるための準備が少しずつ進むということです。
こうした変化は、スロージョギングだけの特別な効果ではありません。運動の量や続け方によって個人差もあります。
大切なのは、「苦しくなるまで頑張らないと意味がない」と思わなくてよいことです。
メリット③ 散歩のついでにも取り入れられる
まとまった時間が取れない日もありますよね。
そんな日は、散歩の途中で少し走る。次の目印まで来たら、また歩く。
ずっと走り続けなくても構いません。運動は短い時間に分けて取り組むこともできます。
「運動のために時間をつくらなければ」と構えすぎず、普段の生活に入れられる場面を探してみてください。
初日は、これくらいで大丈夫

始め方は、難しくありません。
- まず家を出て、少し歩く。
- 安全な平らな道で、短い目印を決める。
- 会話できるくらいの速さで、ゆっくり走る。
- 目印まで来たら歩く。初日はそこで終えてもよい。
電柱と電柱の間が遠ければ、もっと手前で構いません。距離を守るより、自分の余裕を大切にしてください。
帰宅後や翌日に、痛みや強い疲れが残っていないかも見ておきましょう。
慣れてきたら、走る区間を少しだけ増やす。毎回増やす必要はありません。
車の出入りや段差に気をつけ、暑さの厳しい時間帯は避けてください。
痛みまで我慢しなくて大丈夫です
呼吸が楽でも、膝や足首に痛みが出ることはあります。
そんなときは、無理に走り続けないでください。痛みを繰り返す場合は相談し、まず歩くところから考えてもよいと思います。
心臓病などの持病がある方や、医師から運動を制限されている方は、始める前に運動の種類や量を確認しましょう。
胸の痛み、強い息苦しさ、めまいが出た場合は中止してください。症状が強い、または休んでも治まらない場合は、救急の対応が必要です。
「またやれそう」で終わりましょう

私は、運動習慣のない方に、最初からたくさん走ってほしいとは思っていません。
まず家を出る。少し動いてみる。自分に合うペースを知る。
そのうえで、「これなら、またやれそう」
と思ってもらいたいのです。
今日は電柱一本分。途中で歩いても大丈夫。
長く走ることより、また外に出ようと思えるところで終える。
そんな小さな一歩から、始めてみませんか。

